足・足関節
医学的には足首から足先までを「足」、股関節から足先までを「下肢」といいます。足関節とは、足首にある関節の総称で、表面が軟骨で覆われていることにより地面を踏む際の衝撃を和らげながらやわらかな動きを行い、バランスを取っています。そのため足・足関節に異常が生じると歩くことが難しくなります。また、足に合わない靴を履いていて炎症が起こる外反母趾という疾患もあり、この場合長い時間をかけて歩き方のバランスが悪くなり、全身の姿勢や他の関節への悪影響を与えます。 治療はリハビリテーションを中心とした保存療法となります。当院ではスポーツ整形の専門外来も設けていることから、筋力測定の専門機器など多様な医療設備を取りそろえています。必要に応じて、スポーツ整形や小児整形の医師と連携し、快適な生活に戻れるようサポートします。
こんな症状でお困りの方はご相談ください
- 1週間以上、痛みが続いている
- 腫れや熱を伴う痛みがある
- 外反母趾や偏平足の場合、「靴を履いたときに痛い」など何らかの症状がある場合
主な疾患
足関節捻挫
概要
足関節捻挫とは、足首を内側にひねってしまい、腫れや痛み、内出血などを引き起こす疾患です。スポーツ外傷として最も多く見られます。捻挫より重い状態が靭帯損傷です。足首の外側にある前距腓靱帯、踵腓靱帯、後距腓靱帯の3つの靱帯のうち、前距腓靱帯が部分的に損傷している「I度」、前距腓靱帯が断裂している「Ⅱ度」、前距腓靱帯と踵腓靱帯が断裂している「Ⅲ度」に分類されます。診断では問診や視診、触診のほか、足関節の不安定性を診るためのテストも実施します。エックス線検査にて、骨折の有無の確認も行います。
治療法
重症度によって、治療法は異なります。「I度」の場合、テーピングやサポーターの装着と数日間の安静で復帰が期待できるでしょう。「Ⅱ度」はギプス、またはシーネ固定や半硬性のサポーターを着用し、3週間以上の安静が必要です。重症の場合は、6週間以上の治療が必要になることも。「Ⅲ度」は初期段階ではギプス固定を行い、腫れが引いたら半硬性のサポーターに切り替えます。それでも痛みや不安定感がなくならないときは、靭帯再建術という手術を検討することになります。不安定なままでいると、将来的に変形性足関節症を引き起こしてしまう恐れがあるため、注意しなければいけません。
アキレス腱断裂
概要
ふくらはぎの筋肉とかかとの骨を結ぶアキレス腱。その一部、またはすべてが切れてしまう状態がアキレス腱断裂です。30代から40代に多く、スポーツのジャンプやダッシュなどでアキレス腱に強い力がかかったときに損傷することがほとんどです。50代以上は、日常動作による損傷が多くなります。受傷時には「叩かれた感じ」「破裂したような音がした」などの衝撃を感じることもありますが、しばらくすると歩行ができるようになることも珍しくありません。しかし、足首は動いても、つま先立ちができない場合、アキレス腱断裂の可能性が高くなります。
治療法
重症度や患者様のご希望などに応じて、ギプスや装具を用いて治療する「保存治療」、または断裂したアキレス腱を直接縫合する「手術治療」を行います。保存治療の場合、アキレス腱に負担がかからないようにギプスや装具を着用します。約3カ月で正常な歩行ができるようになれば、約6カ月以降にはスポーツへの復帰も可能です。一方、手術治療は再断裂の可能性が少ないことがメリットです。早く社会復帰やスポーツ復帰を希望される患者様には手術を実施しています。手術後に装具を着用し、約2カ月で正常な歩行が、約6カ月以降でスポーツへの復帰が期待できます。また、早期にリハビリテーションを行うことが可能で、筋力や可動域などの機能低下を抑えることにつながります。